ばけ猫かるた/バケネコカルタ



バケネコダヨリ

 

 

このたびは「化ケ猫かるた」とご縁をいただきましてありがとうございます。

ねこのカルタをつくったらカワイイに違いない、と思いたち

描きはじめたものの、古今東西の猫の物語、伝承、民話、怪談、ことわざ、

ジンクス、ミーム、などを題材にするうちに、どんどんカワイイから

遠ざかって奇異でおそろしい猫の絵札ばかりが増えていきました。

カワイイねこをたくさん描くつもりだったのにと葛藤しましたが、

途中からいっそタイトルも化猫として描き進めました。

そもそもの昔から人が猫になにを見てきたか、ということだったのです。

愛玩動物の側面よりむしろケット・シーや踊り猫のように、

ある日飼い猫が隠していた異能を露わにし、信じていた日常が暗転する。

猫とはそういう、日常と非日常、昼と夜、里と山、陰陽や顕と密、

隣り合う世界の境界を行き来するものとして語られてきました。

カルタ4枚を使って物語を追った「長靴をはいた猫」は私の最も好きな猫話ですが、

なにも持たない三男坊はなにもせず物語を動かさないキャラのようでいて、

実は次々起きる異常事態を受け容れる純粋さという美質をもちます。

閃きや直感、インスピレーションというのはカオスな世界を生き抜くための

最適解なのですが、理性や常識や思考の癖というものはそれを抑圧します。

行き当たりばったり、成り行き任せに見える猫の行いは、

幾億の道筋からありえない程の最良の結果へ行きついた。

長靴をはいた猫は、きっと少年の無意識からきたガイドだったのだと思います。

これはフランスあたりの民話なのですが、日本にも似たキャラクターがいます。

ドラえもんは少年に寄りそい導く万能の相棒。未来の世界の猫型ロボットです。

ドラえもんのひみつ道具や長靴をはいた猫の奇術師じみた口上というのは、

なにももたず、なにも否定しない、真に自在な心だけが発揮する創造と奇跡、

無から有を汲みだす力の暗喩のようです。それはズルでもチートでもなく、

赤子のように力まぬ心身こそ最高のパフォーマンスを実現するということであり、

 なにももっていないとき、なんでもできるということであり。

 すべてを手放したとき、すべてがわかるということであり。

色即是空 空即是色であり、万人にいつでも開かれている秘密でもあります。

 

貴方にも、貴方だけの青い猫がそばにいることに気がついていけますように。

 

ヤヤマアキコ